Webデザイナーの仕事

未経験からWebデザイナーを目指すならWordPressは突破口になり得る

この記事は2019年以前他サイトに執筆したものを引越し、加筆修正して掲載しています。

私はWebデザインの職業訓練でイラレフォトショの基本操作とHTMLCSSjQueryを学習しました。多くのカリキュラムはこれらが基本になっています。

ですがここに入っていないもので高評価されるスキルがあります。それはWordPressです

この記事の結論を最初に書くと、基本カリキュラムにWordPressを加えると他の就活生と差別化ができる、つまり就活で頭一つ抜けられる可能性があるという話です。

ちなみにWordPressを特におすすめするのは、制作会社のデザイナーを目指す場合です。事業会社のインハウスデザイナーを目指す場合はそこまで優先順位は高くないかもしれません。

※ちなみに私の通っていた訓練校ではWordPressも学習するクラスがありましたが(残念ながら私のクラスは違いました)、多くのWebデザイナー養成ではそこまではやらないです。

WordPressは制作現場でどのくらい求められているか

私の会社では直近で制作案件の半分以上がWordPressです。保守管理してるサイトも集計したらちょうど3分の2がWordPressでした。

このように制作会社のWebデザイナーとWordPressは切っても切れない関係です(WordPressのみしかやらないという専門の会社も多いです)。

またインハウスデザイナーやWeb運用の担当者でも関わる可能性は高いです。

 

昔は「Webデザイナーはデザイン部分だけやる人」みたいな完全分業も多かったみたいですが、そこだけをやる仕事っていうのはどんどん減っています。

デザイナーという肩書でも開発者寄りのスキルを磨いていく方が収入や安定から考えてもよいです。

守備範囲の広さはわかりやすく武器になります。

以前とあるHTMLサイトをレスポンシブ化・WordPress化するというリニューアル案件がありました。社内が手いっぱいだったのでアウトソーシングにしましたが、レスポンシブ化作業はすぐ頼めるもののWordPress構築ができる人が見つからない(いても単価が高い)となってしまいました。これに限らずWordPressができる人の需要の高さを感じることは多いです。

逆の見方をするとWordPressは最低限のスキルになってきていることも感じます。

なんでWordPressは需要が高いの?

そもそもなぜWordPressってそんなに需要あるのでしょうか?

その理由を一から説明していくと「CMS」の話からになります。WordPressはCMSの一種だからです。

CMSとは?

WebサイトはHTMLで表示されているのは学習されている方ならご存知のはず。

でもHTMLで書いたサイトだと更新や管理が不便です。

例えば「新着情報」。運用していくとトップページの一覧表示欄に新しいタグを追加してそのぶん古いものを削除、みたいな手作業が必要になってしまいます。

またひと昔前のホームページは作ったら終わりで頻繁に更新はしない、というのが多かったですが、今はどんどん運用・発信の時代です。

各企業のWeb担当者や広報も、HPに来てくれるのを待つというより、いかに仕掛けていくかが仕事です。

そういう活用をしたいのに、もしHTMLでサイトを納品されたら知っている人しか更新できなくて不便です。またHTMLを知っていても毎日ちょこちょこソースをいじるとしたら面倒くさいものです。

そこでそういった運用・管理を圧倒的に楽にしてくれるのがCMSです。そのCMSで圧倒的にシェアが高いのがWordPress。HTMLなどがわからなくても画像アップロードやWord感覚でのテキスト入力でHPを更新できます。

また用意されているデザインのテンプレートを使えば、HTMLやcssを知らなくても簡単にサイトを作ることもできます。

CMSとはContents Management System(コンテンツマネジメントシステム)の略です。なお「更新・管理が楽」というのはCMSの特長の一面にすぎませんが、基本的にそのために導入するものという理解で最初はいいと思います。

WordPressはどのくらい使われている?

CMSはたくさんの種類がありますが、WordPressの世界シェアは約65%を誇ります。

さらに日本では約85%と世界平均を超えてさらに圧倒的人気です。

ブロガーやアフィリエイターにもWordPress利用者が非常に多いです。

WordPress以外のCMSを使っているサイトを探すのがたいへんなくらいです。

WordPressが人気の理由は?

「CMSと言えばWordPress!」と言えるほど普及しているのは上記で確認しましたが、なぜこれほどWordPressが圧倒的人気なのでしょうか。

いろんな切り口で説明できると思いますが、一口に言ってしまうと「人気があるからさらに人気がでる」という面があります。これはへりくつでもなんでもなく、WordPressが人気の理由はすでに確立された世界的なシェアとコミュニティです。

WordPressが人気の理由について自由度の高さ機能の拡張などいろんな切り口から説明することもできると思いますが、これらもシェアとコミュニティあってこそ。

Web業界の場合特に確立されたコミュニティがあるというのは大きいです。システムは簡単にマネできてもコミュニティはそう簡単につくれません。

ググるとWordpressの情報ならいくらでも出てきます。他のCMSではほとんど書かれていないようなことでも必ずと言っていいほど情報があります。なんなら静的なHTMLやサーバーのことを調べているのにWordpress関連ばかり出てくることさえよくあります。

雑にまとめるとWordPressが人気なのは「世界のみんなが使っているから!」以上。制作会社側としてはCMS案件に対し「ではWordPressにしますね」といって否定されることはほぼないです。

またあまりITに詳しくない方からも「WordPressでお願いします」という指定を受けることが多く知名度も圧倒的です。ちなみに現場でサイトを数十個管理していますが、WordPressサイトへのアタック攻撃(不正ログイン等をしようとすること)の多さはすごいです。攻撃される確率が高いという点でもWordPressの偉大さを感じます。 

WordPress以外のCMS

ちなみに私が制作会社にいて他に関わるのはMovable Type(ムーバブルタイプ)です。他にはJoomla!(ジュームラ)とか。この辺は名前くらいは知っていると面接対策としていいです。ちらっと「うちはこんなCMSを使うこともある」とか言われたときに少しは反応できますので。

EC系ではEC-CUBEMakeShop(Eコマースサイト構築ツール)。案件によっては自社でCMSを組んだりもあります。

※あとAdobeのDreamweaverなどもCMSの一種と言えます。さらに広い意味ではFacebookやTwitterもCMSの一種です。

WordPressスキルはなぜ需要が高いのか

WordPressの人気とシェアを確認してきました。ここから制作現場での具体的需要です。

「静的」と「動的」

ここでちょっとサイトの種類の話になります。制作者がHTMLで書いたものをHTMLで表示する、これを「静的なサイト」と言います。

静的なサイトというのはどんなユーザーでも表示内容が変わらないです。いつ誰が見ても一緒。

一方「動的なサイト」はユーザーによって表示が変わります。リアルタイム。例えば、Amazonでおすすめが表示されるやつです。

そしてWordpressは「動的なサイト」です。PHPで書いたものをHTMLで表示しています。

半年など短期間の学校で学ぶのは主に静的な部分のみです。基礎ですし、これができてないと動的なサイトにできないからこれは仕方ないです。ただ実際には動的なサイトを作れるスキルがないときびしいです。繰り返しになりますがHPは一度作ったら放置みたいな時代ではなく更新・発信が基本、そしてユーザーひとりひとりに合わせることが重要な時代だからです。

なので制作会社側としては「更新部分はだれでも扱えるようにして納品してください」と言われます。

具体的な例を挙げると

基本としては、

  • ニュースやお知らせを簡単に更新できるように
  • トップページのイメージ画像を簡単に変えられるように

他に多いのが、

  • 一覧表を自動でソートしたり、条件で並び替えにしてほしい
  • 検索窓や入力欄を設けて、条件で表示内容を変えたい
  • 情報と地図を連動させたい

などです。

昔はこういった機能があるサイトは「おおっ!」って感じでしたが今は一般的ですよね。動的サイトのツールで圧倒的シェアを誇るWordPressの仕事がたくさんあるわけです。

WordPressは思っているより簡単

でもWordPressはPHPです。PHPとかまったくやったことないと難しそうって思いますよね。

ところがWordPressのすごいところはちゃんとPHPを学ばなくてもなんとかなるくらい簡単にできるところです。私自身PHP自体はあまりわかってないですが、WordPressテーマはいつも作っています。

WordPressには「テンプレートタグ」というものがあります。とても便利で簡単なことなら初心者でもやりたいことをググってコピペすれば動く、くらいに思って大丈夫です。

ただし最初だけ難しい部分、壁があります。それはWordPressのしくみの全体像をつかむというところ。制作者としては「テーマ(デザインテンプレート)を作る」「管理画面を使いやすくして納品する」とかが主な仕事になります。そのあたりの書籍や情報はもちろん多いですが、いまいち全体像をつかむのは難しかったりします。

自由度が高すぎて、何から手をつけていけばわからないというか、使いこなせないというか…私は最初そんな感じでした。誰かに教えてもらったわけではないのでたいへんでした。

この最初の壁だけは本来習ってしまった方がはやいと思います。テーマづくりや管理画面のコントロールの工程は一度教えてもらいながらなぞってしまえば、後はググってなんでもできるようになります。

ちなみに「デザイナー」タイプの人は「エンジニア」タイプの人に比べてこの辺苦手だと思います。でも需要は高い。だからこそデザイナーの肩書きでWordPressに詳しくなるのはお得です。デザインからすべての工程を一人で担えるわけですから。

プログラムとか苦手という人でも大丈夫です。javascriptバリバリ書くとかよりは、WordPressをいじる方が簡単ですし、よほど早くいろいろできるようになると思います。WordPressはコスパがいいです。つまり学習コストに対して、できることが圧倒的に増えます。

 

ここからは実体験から就活におけるWordPressスキルの価値を感じた話です。

面接で知ったWordPressの需要

制作会社の面接ではWordpressが評価される確率が高いです。

具体的に評価されたこと

私の場合、WordPressについてアピールできるようになってグッと面接の手ごたえが上がりました。

具体的には下記の二点です。

ポートフォリオサイトをWordpressで作った。

詳しくは後述しますが、WordPressに「触ったことがある」というのが意外と大事です。その証明。逆に経験者の転職の場合は意味はないと思います。

WordPressテーマを作ろうとした。

テーマ作り、これは先述のとおりそれをやるのが制作会社の仕事だからです。

なぜ「作ろうとした」なのかというと、できなかったからです。

仮にできたらけっこう即戦力。ちなみに就活中にテーマは完成させられませんでしたが、それでも十分アピールになりました。

今テーマを自作してみている⇒でもこの部分がわからなくて…などの話をするようになったら、それまでとは比較にならないほど面接の手ごたえがよくなりました。

欲しい人材・スキルは?の質問に対する答え

面接官から「質問ありますか」と聞かれたら「欲しい人材は?どんなスキルがあれば採用されますか?」ということを聞いていました。

その時もれなく返ってきていたのがこの答えです。⇒WordPressができる人。

※他に多かったのはjavascript、あるいは将来的にプロジェクトリーダーができる人、などでした。

現場に入った今は面接官の言っていたことや判断基準がよくわかります。

サイト制作の会社にとっては、とにかくWordPressができる人は即戦力なので、まずはこれが挙がるのです。

WordPressに触ったことあるだけでも評価される理由

ある面接ではWordPressでポートフォリオを作ったことがかなり評価されました。

公式テーマでプラグインの組み合わせで作ったという話をしたのにです(←簡単に言うと一切HTMLとかわからない人でもできるという意味)。

これは意外でした。ポートフォリオサイトは0からHTMLとjavascriptで作った方が評価されると思ってたので。※ちなみに他の制作サイトはHTMLとcssアニメーション、jqueryで作っていたので、その辺のスキルの証明はできていたというのを補足しておきます。

また別の面接でもWordPressに触ったことがあるか(管理画面がわかるか)しっかりと確認されました。

触ったことがある、という点が重視される。これはなぜでしょうか。このレベルは制作会社基準では「WordPressができる」とはとても言えないのに。

ここでいったんこのことを整理します。その後触ったことがあるレベルでも価値がある理由を説明します。

「WordPressができる」ってどのレベルを指すの?

一般的には「WordPressができる」という言い方をしても、実際には下記のようなレベル分けがあるかと思います。

レベルの高い順。

  1. プラグイン開発、有料テーマ販売などを行なえる。
  2. 静的なHTMLからテーマを作成し、管理画面のカスタマイズや特殊な条件を満たし納品する。
  3. 公式テーマなどを使い、CSSを編集して表示サイト側のカスタマイズができる。必要な機能に応じて適切なプラグインを使える。
  4. 配布されているテーマをそのまま使い、ブログ記事などを更新できる。

制作会社のWebデザイナーに求められるのは②です。※①はもはや雇われデザイナーの領域ではないというか、デベロッパーとかエンジニアというか…まあここでは割愛します。

ちなみに就活を始めた頃の私は④と③の間くらいでした。さてでは、この程度のWordPressに触ったことがあるというのがどうしてメリットになるんでしょうか。

自分が中の人の立場になって思うことです。仮に以下の2種類の未経験の新人が入ってきたとして教える上で結構な差を感じます。

  • HTMLとCSSと少しだけJSをかじったという人
  • それプラスWordpressの管理画面を触れる、いじったことはある

この0と1の差は大きいです。

なぜ大きいかというと、PHP初心者がテーマづくりをしようとすると、最初の一回はまったく見当がつかないような状態です。ですが一連の流れを一回やってしまうと急にけっこう簡単になります。

その一回目のハードルを越える際に、管理画面に抵抗がなくてWordPressの基本的なイメージができるっていうのが大きいのです。作るモノのゴールは見えている状態だからです。

学校で勉強したHTML等はできている、WordPressを使う側のこともわかる。これならあとはその間をつなぐだけです。教える方としては圧倒的にやりやすいです。

ちなみにPHPについてはWordPressテーマ化を学びながらなぞる程度で最初は間に合います。拒否反応さえ出さなければ絶対できるようになりますし、デザイナーは必要な範囲とレベルだけやればいいです。

 

ここまでで採用側がWordPressを評価する理由、触っておくだけでも評価につながる理由について書いてきました。

最後にWordPressは最初の就活以外でも役立つという話です。

スキルとしてWordPressをおすすめする理由

WordPressは稼げる

WordPressは内定をもらうためにやるというより、実際に稼げるスキルなのでおすすめです。

記事が長くなってしまったので簡単に書きますが、以下のようなメリットがあります。

  • WordPressエンジニア」は「Webデザイナー」よりも平均的に給与が上
  • クラウドソーシングなどで稼ぐ場合もWordPressができると選択肢が広い
  • 個人でブログ運営やアフィリエイトで稼ごうとしたとき制作・管理が難なくできる

もっとも求人が「エンジニア」という呼称になっている場合は、かなり詳しくないとだめなはずでテーマ化くらいのスキルではもちろん不足です。PHPもバリバリ書けるし、WordPressについても熟知しているくらいでしょう。ただ将来的にそういう方向性も選択できるかもしれないという意味でWordPressスキルを高めておくのは有利です。

クラウドソーシングで稼ぐという手もあります。もっとも私が学び始めた5年前くらいだとWordPress関連は割が良かった気がするのですが、最近のぞいたらそうでもないと感じました。ただWordPress案件が選べると有利なことには違いありません。

個人でブロガーやアフィリエイト、あるいは何らかのサイト運営をしたいとなった場合もWordPressは便利です。受注制作経験者なら簡単に立ち上げや運営ができます。

WordPress構築ができると「総合力」が上がる

WordPress構築をしていると以下のようなことが自然に身につきます。

  • PHPの基礎…Wordpress特有の書き方みたいなのも多いのですが、そういった簡単なところから入るうちにけっこう読み書きができるようになります。つまりPHPの入門としてもおすすめです。
  • データベースの基礎…WordpressのデータはMySQLデータベースに入っています。特にリニューアル案件だとデータベースの移行なども出てきます。
  • サーバーの基礎…CMS/動的なサイトを構築して運用する以上、自然とある程度はわかってきます。
  • セキュリティ上の知識と経験…各バージョンアップや攻撃対象になりやすいという特性上、静的なHTMLサイト管理よりもセキュリティ対策が増えます。

このようにPHP、DB、server、セキュリティなどWordPressを通して関わるものを自然に学べます。つまりHTMLなどの静的な制作のみの頃と比べてWebの仕組みの全体像がわかっている状態になれます。

Webデザイナーは各分野の専門家にならなくても、結局概要は押さえておく必要はあります。例えばサイトに何らかの不具合が起きたとき、サーバー側の問題かデータベース側の問題かセキュリティ上のリスクはどうか…こういったことを総合的に考える、問題を切り分けていくことが必要になることもあります。開発やディレクターなど他部署とのコミュニケーションもスムーズになるはずです。また最近の傾向としてこういったポジションの垣根自体がなくなりつつあるという点からも総合力は大事です。

なお私は各分野ぜんぜん詳しくないですが、WordPressのおかげでだいぶマシになれたのはよかったです。

まとめ:WordPress習得で就活も就職後も有利に

この記事で見てきたことをもう一度まとめます。未経験Webデザイナー就活の場合、WordPressを突破口にするのが有力な理由。

  • WordPressスキルは制作現場で非常に求められる確率が高い。WordPress専門の制作会社も多い
  • WordPressは世界的なシェアとコミュニティがあるため安定している
  • WordPressについて話せると面接が盛り上がり、有利になる。
  • 就活で「WordPressができる」とは=テーマを作れること。テーマ化は慣れると簡単、その割に高需要・高評価。
  • WordPress未経験なら管理画面に触っておくだけでも有利になる。

未経験者が採用されるには、AdobeやHTML・cssだけではなかなか難しい時代です。

でも需要がある領域で確かなスキルを身につければ年齢関係なく採用されますし、安定して仕事ができます。

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