これまで参加して一番よかったイベントはダイアログ・イン・ザ・ダークでした

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この記事は2019年以前他サイトに執筆したものを引越し・加筆掲載しています。

未体験ですがダイアログ・イン・サイレンスが気になっています。音のない世界でどう対話しコミュニケーションするか、というイベントのようです。ユニバーサルデザインとも関連があるかもと感じます。

それと関連した話でダイアログ・イン・ザ・ダークについて書きたいと思います。これはけっこう昔に行ったのですが本当に価値ある体験でした。

これまでの人生で「あなたが今までの人生で一番影響を受けたイベントは何ですか?」と聞かれたことはないですが、そしてこれからも聞かれそうもないですが、もし聞かれたら「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」と即答するくらいです。

目次

ダイアログ・イン・ザ・ダークとは

ダイアログ・イン・ザ・ダークとは……簡単にいうと真っ暗闇に入っていろいろやるっていうイベントです。

以下Wikipedia先生

ダイアログ・イン・ザ・ダーク(Dialog in the Dark)(ダイアログ・イン・ザ・ダーク)とは、照度ゼロの暗闇空間で、聴覚や触覚など視覚以外の感覚を使って日常生活のさまざまなシーンを体験するエンターテイメント。「DID」と略称されている。参加者は数人のグループとなり、事前に白杖を渡され、完全に光を遮断した照度ゼロの暗闇空間を探検。視覚以外の感覚を研ぎ澄まし様々なシーンを体験する。暗闇内では「アテンド」と呼ばれる視覚障害者のスタッフが参加者を案内する。

Wikipedia ダイアログ・イン・ザ・ダーク

公式ページ↓

https://did.dialogue.or.jp/

Webデザインのブログでこのイベントを紹介する理由をこじつけると、

  • クリエイティブな仕事するなら視覚以外の五感を研ぎ澄ますのも大切
  • Webアクセシビリティを理解する上で役立つかもしれない
  • UXの視点がますます重要になってきている

というあたりになります。

でも本音はただ紹介したいだけです。

もう少し具体的な紹介

イベント名「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」。

直訳すると「真っ暗の中の対話」。そう、暗闇でただお話しする会話ではなくて「対話」するというイベントなんです。

どう「対話」するのか。ごくかんたんに言うと…

90分間完全な暗闇に入って、協力していろいろミッションをやっていきます。

後述しますが、私が参加した時は秋だったので真っ暗闇で運動会!をやりました。

「完全な」暗闇っていうところがポイントで、普段「真っ暗」って言っても実際は少しは明るさってあるんですよね。屋外でも屋内でも、目が慣れてきてうっすら見えてくるようになるものです。

でもこのイベント会場は人工的に一切光がない状態にされています。

当然何分たっても全く何も見えてきません。

健常者だけでは何もできないので、アテンドという全盲または全盲に近いスタッフと一緒に進んでいきます。アテンドはイベント会場内に入ると最強です。8人団子のように固まってビビりまくりの参加者をたった1人のアテンドさんがバリバリ引っ張ってくれます。

真っ暗の中の運動会

私の参加回は運動会というかなりアクティブな回でした。

種目は、借り物競争、玉入れなど。

以下年数経ってて記憶があいまいになっているので詳細違うかもですが記憶を頼りに書きます。

借り物競争は、実際には拾い物競争。○○を探せ!→何か落ちてないか手探りで探す→手に取って触る→あれ?この形はなんだ?と迷う→「あっちにあんな形のものがあったぞ」とか声掛けで協力…みたいな感じで、みんなでわいわい!

玉入れは、ブラインドサッカーに近い感じ。声を頼りにそこに向かって投げるっていう、暗闇でも盛り上がりました。

なおメインイベントは運動会でしたが、暗闇に入っていきなり始めるわけではないです。まず最初は慣れるのも含めてゆっくり中を進んでいきます。全員一列につながって、前の人の肩に手を置いて声を掛け合いながら。

最初の方はみんな超怖いのでほんとにチビチビした歩き方です。一列で密着団子状態です。明るいところで見たら笑える動きだろうなあ。中に進んでいく途中に木があったりと、聴覚・触覚・嗅覚などを駆使していろいろなものを感じ取れるように工夫されていました。みんなで小さな橋を渡りましたが、水が流れていたのがとても印象に残っています。

ちゃんと季節ごとにイベントの内容が変わっていくのが楽しいところです。例えば年末年始だと「真っ暗の中のクリスマス」「真っ暗の中の書初め」など。

暗闇のカフェ

メインのイベントが終わると真っ暗のカフェに移動します。移動といってもいったん暗闇から出るのではなくて、暗闇空間に併設されているカフェにそのまま移動。

この頃になるとみんな怖いという感覚はなくなってます。あとは周りの人と協力することで仲良くなっているので、和気あいあいとした雰囲気になってます。

暗闇でお金を払って、(カフェ代の小銭だけ持ち込み可、おつりももらえる)飲み物をいただきます。店員さんがお茶やジュースをグラスに入れて用意してくれますが、その音だけが聞こえるっていうのが新鮮でした。

こぼさず飲めるかな…みたいな感じで心配していたのですが、運動会をこなした後だけあって比較的余裕で楽しめました(ここでもアテンドさんにリードしてもらっているからなのですが)。

お菓子もあって馴染みのあるものなので逆に盛り上がります。「これはビスコ?」「いや違うか?」みたいな感じで。コミュニケーション&触覚・嗅覚・味覚フル稼働です。

醍醐味は暗闇から出た後にある

ダイアログ・イン・ザ・ダークは入っている間じゅう楽しいので、あっという間に90分が過ぎます。

最初はドキドキ感とちょっと怖い感覚を楽しめます。中盤は慣れて動けるようになってきた感じ&参加者同士の絆ができてきた感じを楽しめます。最後はなんというか見えないのに見える感じになってきていて、もっと暗闇にいたいなあとさえ思います。

たった90分間でしたが感覚をフルに使おうとしていたせいか時々の場面を景色としてずっと憶えています。

たいていは10年も前に参加した他のイベントなんて、そんなところ行ったなあ…くらいにしか覚えていないものです。ですがダイアログ・イン・ザ・ダークはしっかり描ける感じの記憶として残っています。

見えていないのに「景色として憶えている」っていうのがとても不思議な感覚なのですが、たぶん参加したことがある方ならわかってもらえるんじゃないかと思います。ですがただ楽しかったなあで終わらないのがこのイベントの醍醐味。会場から出た後に一番びっくりしました。

異常とも思えるほど研ぎ澄まされる感覚

帰り道。視覚以外の五感が今までと全然違って研ぎ澄まされた感じになっていて驚きました。

聴覚は車の音や風の音などが聞こえる聞こえる。イベント中は音が大きな頼りなので、そのクセがまだ残っているうちは後ろから来る足音などで距離をはかろうとしてしまいました。良くも悪くもちょっとした音もうるさいと感じるくらいキャッチできるようになってしまいました。

そして触覚。これです!醍醐味というか一番感動したのは。肌に当たる風の感覚とか何かに触ったときの感触をすごく感じるようになりました。大げさではなく、生まれてはじめて「風を肌で」感じた気がしました。もっと一瞬一瞬の感覚を大事にしたら幸せを感じる瞬間が増えるかも…という気持ちにもなりました。

嗅覚・味覚。これらもけっこう鋭敏になります。しばらくは意識的に味や匂いを感じようとしたりしてました。

総じて参加直後は「視覚があると情報量が多すぎる」という味わったことのない感覚になります。

この鋭敏すぎる感覚を経験できたことが参加して一番よかったことです。

しばらく経つとまたほとんど視覚しか使わない生活に戻ったわけですが、他の感覚を眠らせておくのはもったいないという意識はずっと残ってます。五感のうちのどれか一つに注意を集中するっていうのをやるとなんとなくいい気分を味わえることを知ったのでたまにやっています。

人との関係を暖かくしたいという感覚

暗闇の中ではとにかく周りの人との協力がすべてで、そうしないと何もできません。この協力の大切さを小さな世界で体感できるのがこのイベントのもう一つの醍醐味です。

「人は一人では生きていけない」とはよく聞きますが、なんだかんだ健常者はほとんど日常のことは自分でサッとやれてしまいます。そのためついつい自分の力で生きているみたいな意識になりがち。

その意識は、まさに一歩踏み出すのも怖い世界に入るとぜんぜん変わりました。ひとつの動作すべてが助け合い。常に助けてもらい自分もできる限り助ける。そうやって目的を達成していく中で、実はその助け合いの行為そのものが一番楽しいことを感じられたのが財産になっています。

もちろんただのイベントなので利害関係はなし、初対面同士で人間関係の摩擦とかもない。またみんな暗闇が初心者だからパワーバランスも均等っていう理屈はあります。

ただ人生の幸せや仕事の醍醐味って、こういう助け合いやそこで生まれる関係にこそあるんだろうな、という純粋な気持ちになれたことがうれしかったです。

付け加えると、暗闇に入ると全盲のアテンドさんが神のごとき存在になることを経験できたのが貴重でした。光がある通常の世界とは強弱の関係がまさに逆転します(とアテンドさん自身も笑って言ってました)。

学べたことは、社会的な強弱の関係なんて相対的なものなんだなあということ。また究極の適材適所。

まとめ

ダイアログ・イン・ザ・ダークは講演などいろんなイベントもやっています(私も一回講演聴きに行きました)。

この団体の活動の大きなポイントは「視覚障がい者を理解しよう」とかではなくて、「ビジネスに生かそう」という切り口です。

参加すれば何か得られることは間違いないので未体験でしたら超おすすめです。

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