最近のWeb情報、特にニュース記事などで多い「タイトル詐欺」。料理レシピでもこの材料や作り方でこのネーミングはどうなんだ、というのはありえます。
ただレシピ情報の場合よほどでなければ詐欺とは呼ばれないと思います。ただできるだけタイトルと内容が一致しているに越したことはないので、「この料理はこのネーミングで本当によいのだろうか」という場合どうすべきかを考えてみようと思います。
西京焼きで考える
具体例で考えたいと思います。
好例はたくさんありますが、食材名がダイレクトに含まれるわかりやすいものとして西京焼きを例にとります。
「さわらのみそ焼き」と「さわらの西京焼き」だったら後者の方が料理名として調べる人が多そうです。実際「みそ焼き レシピ」よりも「西京焼き レシピ」のほうが検索結果が多いです。だから西京味噌を使っていなくてもそれに近い味を出しているレシピなら後者にしたいと思うのは自然です。
でも本来西京味噌(京都の白みそ)を使わないなら西京焼きとは呼ばないと思っています。すくなくとも白みそを使わないなら「みそ焼き」とでも呼んだ方が適切でしょう。味噌にはいろいろあります。日本料理の店では玉みそなどみその派生版もよく作っていました。私自身はみその知識やこだわりがぜんぜんないほうですが、それでも「一口にみそと言ってもたくさんあるよ、使い分けは当然だよ」という世界を一応知っています。
でも世の中の平均的な人はそうではないです、たぶん。
その人たちに門戸を開くのならとにかくそれっぽいものは全部「西京焼き」でいいのかもしれません。プロや店で日常的に西京焼き作っている人はレシピサイトなんて調べにこないでしょうから。
料理の専門家ではない人が「魚のみそ焼き」で思いついたときに入れる代表的キーワードの一つが「西京焼き」。そして多くの人は一度の西京焼きのために西京味噌を買えません。欲しいのは厳密な西京焼き情報ではなくて西京焼きっぽい味。ほとんどの人は○○的な味が出せればOK。極論○○的な味ではなくてもおいしければOKかもしれません。
一方でやっぱり西京焼きが間違って認識されてしまって本当にいいのか、という問題もあります。これは料理の伝統世界への敬意みたいな話でもあります。でもこれは個人がこだわってもほとんど影響ないのでいったん無視します。ただ発信者個人の信用だけ考えても少し問題があるかもしれません。お手軽系で通しているならぜんぜんいいのですが、「料理の基本」みたいなものをベースにしているなら正確性は大事です。
私の書き方の結論
このジレンマを解決する方法です。
西京焼きで仮に食材はさわらとします。
タイトル:さわらの西京焼き風
レシピ紹介文:西京味噌を使わず、どの家にもある普通のみそで近い味をつくりました。
詐欺にならない料理名テクニック
- 「風」
- 「仕立て」
- お手軽○○
- かんたん○○
上記のようなネーミングにすれば「本家・本物」「正統派・本格派」との厳密な比較を避けられます。
また料理初心者の方が「本物」と勘違いする可能性を減らし、さらに「本物」の方にも興味を持つきっかけを作れるかもしれません。
ちなみにこのテクニックは学校給食時代などに感覚的に学びました。給食系はいわゆる本物はなかなか作れません。そのため一番近い有名な料理名にあやかるようなネーミングが多かったです。
ただ給食の献立表と違うのは、Webではみんなが入力するキーワードでなければならないことです。できれば最大化したいです。
キーワード選定と検索の揺らぎ
Webの場合レシピ名をつける上で最優先で考えることの一つが検索ボリュームとの一致です。先の例だと「さわらの西京焼き」「さわらのみそ焼き」どちらで調べる人が多いのか。
実際に検索ボリュームとライバル数を調べて決定するのが基本と思います。でも少ない方も捨てたくない。この場合の対応です。
例えば「西京焼き風」と命名しても「みそ焼き」というワードを捨てない解決としては以下が考えられます。
- リッチリザルト
- meta description
- アーカイブ、タグ等の有効活用(サイト内対策)
またタイトルだけで両方を含めてしまう別案も考えられます。
さわらのみそ焼き(西京焼き風)
なお「表記のゆれ」もチェックできたらするのがよいと思います。今回の例だと、みそ焼きで西京焼きが出てくるか、西京焼きでみそ焼きも出てくるかということです。ちなみに「さわらの西京焼き」と「さわらのみそ焼き」ではぜんぜん違う検索結果表示になりました。この例ではボリューム(つまりライバルの数)も差が大きいと感じたので、「西京焼き」は捨てて「みそ焼き」と入れる人だけを狙うほうが数を取れるかもしれません。
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