Webデザイナーとして制作の実務を知らない時は「納期が近いときに忙しくなる」という理由がいまいちわかりませんでした。
そうならないように段取りよく進めればいいじゃないか、と思っていたからです。
納期前が忙しくなる理由
Web制作で納期前=繁忙期になってしまう基本的な3つの理由です。
- 基本的にタイトな予定で受注している
- 所要時間が正確に見積もれていない
- 修正が入る
1.納期はタイトが基本になってしまっている
Web受注制作は基本的に納期が厳しいです。クライアントは「できるだけはやく」を希望してきます。※下請けの場合も同じかそれ以上。
ここで強い会社ならぶれずに自社側のペースに持っていくことができます。しかし普通かそれ以下の会社はお客さんの要望をできる限り聴くことで競争力をなんとか維持しなければいけなくなります。
短納期競争がある限り現場の制作者のスケジュールは常にぎちぎちです。
2.所要時間が正確に見積もれていない
Web制作は所要時間を正確に見積もることが難しいです。
これはまず単に作業が広く、作業単位が多いというのがあります。それぞれの作業はぜんぶ所要時間が異なります。
またデザインの場合、単に時間をかければよいわけではありません。「時間=作業進捗」とか「時間=クオリティ」というように単純にはいきません。
またチームの場合はだれかが遅れるとみんなが遅れるというのもありますし、作業スピードは人によってぜんぜん違ったりします。
常に新しい技術やトレンドも出てきます。つまり前回とまったく同じ技術やパターンのみで作るということはあまりありません。技術的な問題が発生し解決に手間取ることもあります。
3.修正が入る
Web制作が納期前にアワアワする理由で大きいのが修正です。
クライアント(お客さん)は納期間近になってからいろいろ言います。
特に大きい組織だと最終OKを出す人が最後の最後でひっくり返してきたりします。こちらが接触できるエライ人(広報部長とか)よりもさらに上のエライ人(役員とか社長)が最後の最後で出てきて違うことを言い出すパターンなども…
また担当者自身も実際に運用を本気で考えはじめるのが出来上がり間近だったりします。そうするとやっぱりこうしたい…とか要望が出たりします。
完璧なディレクション、根回し、先回りした要望の反映…などできていればこうならないですが、理想は理想であって実際はなかなかそうはいきません。
最終納品以外の期限
制作案件には最終の締め以外に途中経過の締めがあります。例えば「この日までに○○ページのデザイン案を提出」などです。
これが細かく設定されている案件とそうでもない案件があります。
お客が大きな組織で大規模な制作の場合、クライアントと進行スケジュールを共有し途中段階の期日がたくさんということが多いです。いついつまでに「資料受領」や「テスト開始」などです。
一方ごく小規模な会社や個人事業主の場合は大抵「最後にちゃんと納品してくれたらいいよ」というパターンになります。ただしそれだけに最後の最後に自由すぎるダメ出しをわんさかしてくれるお客さんもいます。
後者のほうが最終納品前の時期が怖かったりします。
納期にかなり余裕あり、の案件でも楽ではない
私のいた会社は自治体案件も多かったですが、納期はかなり余裕がありました。というのは自治体は予算等年単位で動いていて一年ごしの話なども多いからです。
例えば春ごろ本決まり、つまり制作開始し、その年末や年度末が最終納期限などというパターン。途中経過の期限はありますが、基本的には長いスパンで動くので最終納期は余裕があります。
ただ作業者は余裕になるわけではありません。常に他の小さめ案件などが来ていて毎月納期に追われているからです。合間合間のタイミングで数か月ごしの自治体案件などすすめます。納期が長いというのは逆に言えば長期間抱えている状態です。場合によってはストレスと複数の納期を抱え込むことになるので逆に大変でした。
納期と時間の使い方に関する本で「もっとはやく読んでいればよかった」と思った本を紹介しておきます。著者はWindows95の開発で重要な役割を果たした日本人です。私は本で紹介されているダメなタイプ。驚くほど全部当てはまっていました。
コメント