創英角ポップ体が好きです。まる字っぽさに加えて、マルそのものが高確率で入っているところがたまらない。正直使いどころはほぼないけど、フォントの中で一番好きかもしれない。
そしてWebデザインの現場に入って創英角ポップ体はボロクソに言われていることを知りました。そんなに嫌われていたなんて。まあ使われどころがひどいから仕方がない。でもフォントそのものに罪はない。
この記事では料理系で使うとしたら…ということで考えてみました。なお記事中参考画像のフォントは「HGP創英角ポップ体」です。
創英角ポップ体=おでん!?
大前提として創英角ポップ体は本文ではなく見出しとかに限定的に使うしかない。できるだけ短く、できれば単語とかの方がよさそう。
というわけで一番このフォントが合う料理を考えてみました。条件は白地に黒文字のみ。
そもそも料理単体で考えるというアプローチは間違いというか、本来デザインする目的で考えるのが基本です。だれに対してどういう目的なのか。場面で言うと少人数の高級なフレンチなのか、家庭でワイワイなのか、みたいな。
ただそういうのは無視してあえて一番違和感がない料理名を探してみたい、というネタ記事です。
個人的な直感での創英角ポップ体のイメージ(⇔は反対の意味なので適さない)
- 手作り感。(⇔専門店クオリティ、高級)
- 温度感は、温かい。季節で言うと冬においしいもの。
- 味は甘。塩、辛、酸、苦の料理でも甘めに感じる…気がする。
- 食感は、もっちり。(⇔シャキシャキ)
- 切り方や色は、バラエティ。(⇔統一感)
- 時間で言うと、じっくり。じっくりが適切かは疑問だけど時短な感じはない。
- 盛りつけで言うと、皿の余白はなくこんもり(⇔上品な盛りつけ)
- 水分で言うと、多い。汁けがある。
これらすべてに当てはまる料理、それは
おでん!
…か?
まあ強いて言えば色どりがさみしいかもしれない。グミみたいなカラフルなポップ感がない。「ポップ」体だけにこれは小さくない問題だ。
タネなら「ちくわぶ」だな
でも、最高じゃないか、おでん。だって「お」にはマルが入っているし、「で」も「ん」もわりと好き(「か」とかはそこまで好きじゃない)。
ちなみにひらがなでマルが入っているのは「お」だけ。たぶん。「な」とか「や」は線になっている。貴重すぎるマル。
あ、文字そのものの話になっちゃった笑。でも続行。
おでんのネタ名もいいところがそろっています。「もちきんちゃく」とかも捨てがたいけど、特に「ちくわぶ」 ね。
あ、もう食材だったらちくわぶだな。
ちくわぶ
これも4文字とも最高。
「ぶ」の中央のふにゃふにゃ感とか、「わ」の左側の開いちゃっている感とか。
マルが入っていないのが残念すぎるけど、だからできたら「ちくわぷ」にしたい。
とか思ったけど、これは違う。創英角の半濁点はあまり好きじゃない。なんか浮いて見える。
まあともかくもっちり食感のちくわぶはイメージに合っている。
優勝おでん、MVPちくわぶ。
おでんのちくわぶ
ちくわぶそんなに好きじゃないけど、おでん屋さん行って創英角ポップ体でメニュー並んでたら絶対頼んじゃいそう。
みんながわいわい盛り上がっている中、すみっこで一人「このちくわぶ(の文字)」最高だなあ、って一人にやけそうになるに違いない。デフォルトで縦組みだと「わ」と「ぶ」の字間が気になるところとかもgood。心の中だけでひとりこだまする…MVP!MVP!ちくわぶ!。こんな性格だから飲み会苦手なんだな。
調理法で言うと煮物か?
話を戻してなぜおでんがいいかなと思ったのかというと、まず煮物だから。
煮物はいい。なぜなら「煮」という漢字に大好きなマルが入っているから。
マル最高。笑。
もっともマルが入っているという点では蒸しも引けを取らない。あ、じゃあ蒸し煮がいいか。
あと「揚」とか「焼」は何となく焼きが甘かったり、カラッと揚がってないかもしれない感を感じてしまうのは私だけだろうか。
…また文字そのものの話になってしまった。
まあでも暖かくて家庭的で汁けがあるって言ったら煮物。創英角ポップ体の使用イメージに合っている。和食なら甘味を入れるし、たいてい何品かを炊き合わせる。
で、おでん。ある意味煮物の中の煮物。サッと煮とか軽く炒め煮とかじゃなくじっくりことことの王道。イメージは大抵おでん鍋につゆだくで入っている状態。よっておしゃれ感を損なうことはあまりない。手作り感はまあ…ある。なんなら練りものとか思いっきり既製品だけど、練りものって何となく手作り「感」がある。
おでんだったら常に使うべきとかではもちろんない。ちょっと高級な店舗で提供するこだわりおでんとかの案内に使ったらすべてが台無し。結局料理そのものではなく目的に合わせて使うべし。
私の中でのキングオブ創英角ポップ体料理がおでんに決まったところで終わりにしようかと思いましたが、せっかくなのでもうちょっとだけ検討の過程を書いておきます。
温度で言うと温かい方がいいのか?
創英角ポップ体は冬においしいものがいい、と思う。下のように夏のものと比較してみた結果でなんとなく。
なおオールひらがなだとこう。
やっぱりこのフォントはひらがなが好き。わかりにくいけどね。一瞬読み取れなくてんっ?てなる。
手作り感の再確認
創英角ポップ体の手作り感の確認。手打ちラーメンは興味をそそられる。おいしさというより手作り加減に。
なおカップラーメンだと特売とかのやっすいやつに見える。
料理のクオリティは趣味でやっているおじちゃんかおばちゃんが作った感になる、気がする。だから基本的に商売ならあまり適さない。ボランティアとか無料イベント系ならよさそう。
料理系で創英角ポップ体が使える場面
そろそろ記事のまとめに入ります。
改めて創英角ポップ体を料理において使えそうな場面を整理します。
- 手づくり持ち寄りパーティー(おしゃれじゃなく料理に方針とかもなく子供がたくさんとかのやつ)
- お得、詰め合わせ(これ料理じゃないか、まあ広く食品ってことで)
- クオリティがプロ級ではないよ(っていう予防線を張れる)
ワクワク感、手作り感、バラエティ感がある場面ならOK。手作りイベント系のチラシとかなら、使い古されているとはいえあながちバカにできない威力がある気がする。
とりあえずこのフォントを使った時点で店の味みたいなのは期待できない。そこを捨ててでも優先したい目的がある場合。
ただ残念なことに創英角ポップ体がベスト、という場面は少なそう。他のフォントを検討したら除外される可能性大。
料理系で創英角ポップ体がNGな場面
- 高級、専門店
- 冠婚葬祭…と思ったけど祭だけはアリかもしれない
まあきっちりかっちりしたところではもちろんNG。
給食には合っている
自治体や公的な団体がやたら使うことで批判の的になる創英角ポップ体。ただこれはむしろいい使い方だろうというのがあります。それは学校の給食。
考えてみると 創英角ポップ体×料理=給食 のような気がします。
献立表とかね。子供に与えるワクワク感。手作り感。最高じゃないか。創英角ポップ体。
懺悔とやはり報われない創英角ポップ体
Webデザインの仕事してから創英角ポップ体がさんざんな言われようであることを知りました。
で、創英角ポップ体ファンである自分を恥じたりしてしまったこともあります。この記事はその懺悔の意味もあります。創英角ポップ体ファンの私ですら嫌いになりそうな使い方する人が悪いのであってフォントそのものはやっぱり最高。
ただ今のところお客様案件で使ったことはありません。今後も99.7%ないでしょう。300件に1件くらいここぞという場面でいつか使えたらいいなあ。まあグラフィックデザインと違ってそもそも装飾系のフォントを使う場面が少なすぎるのですが。ていうか創英角ポップ体がいいっていう人だったらそもそもデザインを発注せず自作しそう。あ、じゃあやっぱり無理か。
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